「…だから、ダメだってば。」



母さんがいなくなって。


気を取り直して…と、
みさきのほうに近づいたものの…



「誰かがいるときはダメ。
さっきみたいなことになるでしょ?」



きっぱりと拒絶されてしまった。

どこから持ち出してきたのか、でっかいクッションなんか抱えて…

俺を睨みながら、少しずつ距離を取っていくみさき。



「大丈夫だって。母さんはもう来ないし、これから仕事に出ちゃうわけだし…」


「…じゃあ、おばさんが出かけてからにしよう?」


「え?それは…」



今日の出勤時間は確か…


って、無理でしょ。


ずっと会えなくて、
ずっと我慢してて…


やっと触れられるんだから。



「ちょっ…航くん!」



ぐいっと。

逃げるみさきを捕まえて、抱えていたクッションを放り投げて。

その身体を再び腕の中へと引き寄せた。



「みさきは平気なの?」


「え?」


「早く、俺と触れ合いたいと思わない?」


「そ…それはっ」



みさきから伝わる鼓動も。
熱を帯びた身体も。


全部が物語ってるじゃん。



「俺は…「みさきちゃーん!」