……まさか、
相手が航だとは思わなかった。
あれから5年。
彼女は、
あの頃よりもずっと、
“綺麗に”なっていた。
元々備えていた容姿に磨きがかかったと言うべきか。
纏う雰囲気も、
しぐさも表情も。
当時の面影を残してはいるものの、
ぐんと大人びて見える。
……と、それは当然のことかもしれない。
当時、中学生だった俺たちも今ではお互い大学生になっていて……
俺だってそれなりに成長したし、変わったと思う。
でも、彼女の場合は
それだけじゃない。
印象がガラリと変わった。
まるで違う。
俺が知っている“立花実咲”とはまるで別人だ。
会わない間に“何か”があったことは明らかで、
そこには確実に“誰か”の存在がある。
彼女を根底から支えているもの。
それはきっと……
――つき合うことになったから。
あのときの航の言葉を思い出す。
―――これからは俺がずっと傍にいるから。
俺が守るから。
今後一切、彼女には関わらないでくれる?