その写真を持って

リビングに走った。


「お母さん」

「なに?」

「この写真に写ってる
 この男の子って誰?」


幼稚園の頃の遠足の写真を
お母さんに見せた。


「あら!懐かしいわねぇ」

「そんなのいいから!
 これ誰?」


見覚えのない
男の子を指差す。


「さやか~。望くん忘れたの?」

「...え?今なんて言った?」


「だから、望くんよ!
 新島望くん!
 仲よかったじゃない。」

「お母さん...
 ありがとう...」


一段と重くなった足を
引きずりながら


自分の部屋に戻る。


まさかだ...。



本当にあたしの記憶から
なかったんだ。


あいつの...