「やっ…」

疑問を目で訴えながら

"いや、そんなの言い訳じゃないんですか"


という言葉を言おうとしたが急に声が重なる。


『俺がここに来たのは、ただあの約束をなししてほしかっただけだから―』


声と同時に、目が強くあたしを捉えてから、コツコツと靴が音を立てて教室を出た。


”危ないときは手伝うということ”


やっぱり、約束なんて。

彼はしんじてくれないんだ…。


あたしは心が痛くなったと思いきや、その辛さからあたしの目に涙が溜まる。



でも、流石に怖かったことが起こってしまい、なんだか誰も話したくない気分。



やっぱり、あたしなんか振り向いてくれないんだね…。


でも、やっぱり。

冷たくされてしまうと、痛くて苦しい…。


涙がぽろぽろ出てそうで、自然とあふれ出る涙を堪えた。


もう…振られて我慢なんか…。


すると―

目の前にハンカチが横から出てきた。



え…?


疑問に思いハンカチを出した人に振り向く。


その誰かは…



『大丈夫?って…あたしが言うことじゃないかな?』


屋上で、あたしに能天気にいう人と思っていた輪郭と髪型が似合っている先輩。



有紀先輩は心配そうにあたしを覗く。



…っ。


その綺麗な顔を見ていたら自然と涙がぴたっと止まったのを見て彼女は笑った。