「わかんない…」


あたしは下を向いてお姉ちゃんの言った質問に答える。


『はっ?!』


あたしの言葉におねえちゃんは目を丸くする。


きっと知ってると思っていたかもしれないので一応質問に答えたけれど…


疑問がありすぎてしょうがない。




そんな不安が混じって溜息を一気に吐くと同時に聞き覚えのある声がすーっと入ってきた。



『…佐倉さん?』



聞いた声にあたし達は振り向く。



優しい笑顔で眺める眼差し―


いつにも無く変わりもない格好いいスタイル。



その姿を見ては目を丸くした。


だって…

だってっ…



あたし達が話していた、その本人がいたんだから。



お姉ちゃんはあんぐり口を開けて驚いているに違いないだろう。



『あれ?話中ならいいよ?』



彼を見た瞬間あたしは泣いていたときのどきどき感が復活し心臓の鼓動がばくばく速くなる。


だけど先輩はあたしをきょとんと見ている。


"なんかあった?"


訴えているような眼差し。


その眼差しにあたし達はどうしようも無く笑うしかなかった。


『別に、なんもないよっ!』


何にも無いように答えるお姉ちゃん。