『はっ、まさか俺が優しい先輩なんて思ってた訳?』


黒木先輩は嘲笑うかのように馬鹿にしているような言い方であたしに訊ねる。


「っ…そうしか思いませんよ」


あたしは唇を強く噛み締めながら勇気を振り絞って先輩に言う。



「先輩が助けられたら皆思ってしまいますよ!」


だって、

あれは助けてるのかと思った。


そうしか思わないあたしだけど、あの行動はどうしても助けてるようにしか…見えない。


だけれど、

それを超える屈辱な言葉があたしに告げた。


『助けた…覚えない』


振り絞った言葉を黒木先輩は真面目な顔でアタシにあっさり返した。


え…っ?


どうして…?


確かに、あたしを救ってくれたはずじゃ―…


先輩はふっと鼻で苦笑いしながらいいだした。


『馬鹿だな、お前。俺は、面倒臭いから追い払っただけだよ。だからお前を助けた覚えはない』



…っえ…。



「…っ」


唐突の彼の発言にあたしは言葉が何もいえない。


だって…もちろん。


格好いい王子ではなく”無愛想”な彼


なんだから助けるはずないんだ。