ガチャと音を鳴らしたドアの先には―


あまり人気のない場所…


屋上だった。


でも…先輩はさっきの優しい先輩では無かった。



昨日と、怖くて鋭い目であたしを捉えている眼差しをしていたあの顔と同じ。


あたしはその豹変に目が熱くなる。


『お前、昨日は何も言わない。だけど、あの正体を見られたらどうなるかわかる?』



先輩は呆れたように言う。


えっ…?

なんの事なの?


"正体"のがいまいち何のことなのかさっぱり言ってることが掴めない。



何も分からなくって思わず「あっ!」と声を上げた。



「あの…、正体ってなんですか?」


『はぁ?!』


あたしは、


”正体”というのが分からず恐る恐る聞いてみると…


黒木雄大先輩は呆れたような声を出さず、あわてて大きな声を出す。



物凄く"正体"というので怒っている様子。


怖いっよ…!


緊張が奔る中、目をくるりと真ん丸くさせる。


「…え、だって…知らなかったんですよ?!」


落ち着かせようと焦って言い出した。


けれど、

効果は無くて…。


『何?本当は知ってるんだろ?俺が冷たい奴だってさ』


すると先輩の目が鋭くあたしを捉え、睨んできた。


っ…!!


え…まさか、本当にあの優しい先輩は…?