ボソッと心で言いながらもにこっと笑った。



『あ!ねっ?!雄大先輩知ってる?あの噂していた!』



「うん…姉ちゃんから聞いたよ」


唐突、黒木雄大先輩の話を黒木さんが話し出した。



本当なのかな…?


あの噂…


そして、本当なのかどうかと半信半疑で思いながらも彼のことを考えた。



すると耳の前であたしのところまではっきりと聞こえた。



『実はね、雄大先輩って、


佐倉麻友ってここの優等生がね好きらしいの!』



佐倉麻友(サクラマユ)という名前はあたしのお姉ちゃんの名前。


しかも…あの黒木雄大先輩が、す…好き?!



嘘…?!

な、なわけないよ!



そんなくらい有り得なかった。



お姉ちゃんは黒木先輩のことなんて聞いたこともないあたしは複雑に思えた。



「そんな、ありえないでしょ?彼氏いるのに…」

彼氏いるもん。

それに、あの”女の子が嫌い”なんだからありえない。


なのに、なんで”好き”っていう噂が…?!



『えっ…?居たの?!ってかなんで、そんなのも知ってるの?』


舞はあたしが一言で呟くと、驚く顔をしながらあたしに聞いてくる。


「え…あたしのお姉ちゃんだしぃ」


『嘘ぉ―?!知らなかったぁ!』


あたしが”姉ちゃん”だと言ったとたん、舞は体育館が響くくらい声を叫んだ。


その大声を聞いてみんな一斉に見た視線が痛かった。