それから父は事故死した。

原因は信号無視をし、トラックにはねられたと。

でもそれは事故死ではなく、自殺だったと思う。何故自殺したのかは今でも分からない。でも、父が亡くなってほっとしている自分がいた。

きっと母にあの言葉を言われて、私は父のことを拒絶していたから。

けれど、父が亡くなってほっとしている自分がとても恐ろしかった。自分で自分のことが怖くなった。

それから母は今までどおりに戻ったが、今までと違う私とは距離を置くようになった。最初のうちは悲しかったがもう慣れてきて、私からも母を避けるようになった。

人との関わりを避ける私の唯一相手してくれる人が1つ下の弟の智樹だった。

こんな私を姉として見てくれて、色々相談にのってもらったりした。小さいころは喧嘩ばっかりで弟のことを何とも思ってなかったけど、その時初めて智樹の存在は大きいと感じた。

だが、不運は続くものだ。

私がようやく高校に上がり、少し経った5月。

智樹は癌に侵されていた。

気づいた時にはもう遅く、余命は1年だと・・・。