いつもの目覚まし時計の音で目が覚めた。

今日家を出ていくというのに、寂しさも虚しさも私の心の中には全くない。

・・・ただ1つ心残りなことは、智樹のこと。

でも、智樹の為なんだ。

私はこれから1人で生きていく。

ボストンバッグの中に最低限の荷物を詰め、退学届を書いてリビングに降りた。

「おはよう。」

一声かけたが、母の姿は無かった。

私は机の上に退学届を置き、母に置手紙を書いた。

「退学届、置いておきます。また学校側に渡しておいてください。それと、智樹のことよろしくお願いします。」

言い残すことはそれだけだ。

もう、この家に戻ることは・・・先のことになるだろう。