家に戻った智也君……目の前には1台の救急車が走り去るところだった。



「母さん!!舞華ぁっ!!」



救急車に向かって大きな声で必死に叫ぶ智也君。



でもその声は届くはずもなく、むなしくその場に響くだけ。



家に入ると静かでヒンヤリした空気が智也君を包む……。



「ったく…俺は…何やってんだ」



自分に嫌気がさして、ため息をつく智也君。



リビングのテーブルの上にメモがあるのに気づいて手に取る。







《さっきは慌ててしまってごめんなさい》
《救急車の行き先の病院に到着したら》
《連絡します。心配しないでね。母より》






真っ赤な目…涙で腫れた目のお母さんが頭に浮かぶ。



お母さんの流れ続ける涙はメモを書く字を濡らしていた。



滲んだ字を読みながら智也君は思ったんだ。





もし……神様が存在するのであれば……お願いです。



どうか舞華を助けてください…。



俺の妹…大切な家族…舞華を…舞華を……



どうか助…けて。