智也君はあの朝、どんな思いで急いでたの?



今すぐにでも帰って舞華ちゃんのもとへ行きたかったはずだよね?



それなのに私は……私は……。



私に出会わなければもっと早くに舞華ちゃんのもとへ行けたんだよね?




考えたって仕方ないのに、思ったって仕方ないのに……。



出会った事は後悔したくないよ。



私にとって大切な『出会い』だったから。



「ごめんね。智也君の急いでた理由も知らずに…ごめんね。私…あの時っ…」



「なんで琴弥が謝るんだよ!いいんだ。俺が決めた。俺の問題なんだから。むしろ…琴弥にあの時救われたんだよ。琴弥に会って…冷静になれた。現実に向き合う勇気みたいなもの…そういう気持ちを持てたんだ」



そう言うと、智也君はよしよし…と私の頭を撫でた。






髪に触れ、私の涙を拭う指先…。



優しい感触・・・・・優しい気持ち。



そうなんだ…私はこの人に『恋してる』・・・・・そう、心から・・・・・。