「…やっと口を開いたと思ったら、舞華は弱々しく俺に言ったんだ…俺の事が……好きだったって…好きで好きで苦しいって…そう言って…泣いたんだよ」



「好き?って…それって」



「ずっと好きだったって泣きながら言うんだ。俺は驚いて言葉にならなくて、ただ泣く舞華を見てるだけだった。それしか、それしか…出来なかった。あいつはあんなにも思い詰めて…苦しんでいたのに…」



そう言い終わると智也君は両手で顔を覆った。



小刻みに震える智也君の手………。



智也君はそうやって…ずっと、ずっと今まで…そう今日まで、



この瞬間でさえ、自分を責めて、自分を許せなくて、



舞華ちゃんを思うたび心の中、傷ついていたんだね。



舞華ちゃんは『智也君が好き』だった。



お兄ちゃんとしてではなく1人の男の子としてしか智也君を見れなくなって…女の子として、恋してた。



叶うはずのない思い。届くことのない想い。



それを隠しながら一緒に暮らしてたんだ。



最後には智也君を避ける事でしか、舞華ちゃんはもうそれしか出来なくなるほどに…



それくらい深く、真っ直ぐな想いで智也君を好きになっていたんだね。