苦しくて、居たたまれなくなって。
私は彼女から目を逸らした。
俯いて背中を向けたままの彼に背を向け、力を貯めるようにぐっと拳を握り締める。
「帰る。」
震えないようにと力を込めて発し声は、それでもやはり震えていて。
彼に気づかれたんじゃないかと不安になったが、振り向くことの方が怖くて逃げた。
来た道を引き返す間、涙が溢れて止まらなかった。
ぽろぽろと頬を伝って、綺麗に塞がっているはずの傷口にひりひり染みた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…