あのね、と話しだそうとして、止めた。


だって、それはパンドラの箱だ。


開けたら最後、この世のすべての不幸が溢れだして止まらなくなる。


私はもう、4年前にその箱を開けてしまった。


けれど、それを悠斗に話したら、悠斗にまで不幸が降り注いでしまう気がして。


私は慌てて話題を変えた。


「悠斗は、彼女は?」


「ん?……まぁ、いるよ。」


一瞬不思議そうに首を傾げた後、悠斗はふっと優しく笑って頷いた。


「どんな子?」


悠斗みたいな出来た人間に好かれる子ってどんな子だろうと、興味津々な私の問いに、悠斗は相変わらず余裕そうに笑って応える。


「不器用な子、かな。ま、あかりほどじゃないけどな。」