「あ、真山?」


電話の向こうから聞こえてくる探るような声。


「俺……水野だけどさ。えっと、明日、暇か?」


遠慮がちに申し訳なさそうな話し方。


「………」


「あの…さ、暇だったら明日迎えに行くから待っててほしい。」


困ったようなしどろもどろな言葉。


「じゃあ、また。」


別れの言葉を交わしてからゆっくり5秒待ってから、戸惑いがちに切れる電話。


あぁ、これだ。


私の一番嫌いなもの。


私のために、私のためにって、まるで忠犬みたいに。


責任とか、罰とか。


そんなことのために、隠せもしないくせに無理に取り繕おうとして。


本当は傷ついてるくせに笑ったりして、


私はそんな彼が大嫌いだ。