カチャ
静かに扉を開ける音がして、ちらっと玄関に目を向ける。
そこには予想した通りの人物。
いつものように「お邪魔します」と遠慮がちに顔を覗かせる彼。
その姿を確認して、ほっ…と息をつきつつ冷たい視線を送れば、
コートを脱ぎながら部屋にあがってくる彼は、そんな私に困ったように苦笑いする。
あぁ、また…。
私の嫌いな顔をする。
目と口を引きつらせたその表情に、傷が疼く。
ひりひりと痛いそれを誤魔化すように、
「何か用?」
今日もまた、私は彼を突き放す。
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