……そこからの記憶が私にはない。


気づいたら私は病室で横になっていて。


横のパイプ椅子にはいつの間にか親がいて。


その時、涙目で顔を歪ませる母を不振に思った記憶がある。


その涙のわけを私が知ったのは翌朝。


顔を洗おうとして洗面所の鏡を覗いた時。


ミイラのように顔に巻かれた包帯。


首筋から覗く生々しい傷痕。


左半身を中心に腕や足に残る切り傷たちが意味すること。


……きっとこの包帯の下には悲惨な光景が待っている。