「おいしい…。」


そして一口食べるごとに、涙が溢れた。


「泣いてもいいけどさ、今度弱気になったら絶交だからな。」


涙を流す私を見たジィンに言われた言葉。

顔を上げれば彼女の微笑む顔が見えて。

私は何度も頷いては、もぐもぐとゾリアをほおばった。



――…翌朝。


「捕まってろよー!」


ひゃっはー!と叫びながら、ジィンは馬で崖を飛び越える。


「い、今のは危なかったわ…!」


心臓ががはちきれそうな位高鳴る私をよそに、ニイッと笑うジィン。


「スリルがあった方が楽しいだろ?」



…中央都市アリエスタを朝一番で離れ、私達はひたすら2番街へと向かっていた。

だが辺りは殆ど荒野。
ここから東に行けば小さな町テラスパーレがある。

そしてこの先には大きなオーダ河。


「とりあえずオーダ河にかかる橋を渡らないとな。」


ジィンは馬を走らせながら、小さく呟いた。

もう王国騎士団に追われていない事もあって、今回は堂々と中心から2番街へ入る事になったが…

2番街といえば、


「…タリア。」


そう。彼女の事が心配でならなかった。

私達が地下通路に逃げた後、確実に彼女はオーウェン率いる王国騎士団達と会ったはずだ。


今、タリアは何処にいるのだろう。