「あ、そういえば」
「ん?」
歩きながら、明が言う。
「今から行く駅前のクリスマスツリー、たしかひとつ100円でオーナメントが販売されてて、それに願い事を書くって企画があったはずだぞ」
なんか…
「七夕と混ざってない?」
明が苦笑いする。
「まあ、いーんじゃねーの?早和はやりたくない?」
「やりたいっ!」
「やっぱり」
明が笑う。
だって、私だって女の子だもん。
お願い事が、あるんだ…。
「うわー。すごい人」
駅前広場は、さっき通った時よりも人が増えていた。
「オーナメント売り切れちゃったかな」
「んー…、どうだろう」
ツリーに近づくと、たくさんのカップルがオーナメントを片手にツリーを見上げていた。
「カップルばっかりだね」
「俺らもそう見られてんじゃねーの?」
さらっと言われたけど、ようするにカップルみたいって事だよね?
そう、見えてたらいいな。
その後も手はつながれたままで、それがなんだか嬉しかった。
「あ、あそこじゃねぇ?」