「…これ、手編みのマフラー?」
「うん。今年は寒くなるって聞いたから、マフラー編んでみたの」
微笑んで答える。
「早和の事だから、どっかに穴でも空いてんじゃねーの?」
明が、不思議そうな顔のまま呟いた。
「なんですって!?そんなこと言うなら、返して!」
手を伸ばして取ろうとしたら、いつものようにひょいっと逃げられた。
そして、優しく笑う。
「うそ。俺が何年お前と幼なじみやってると思ってるんだよ。早和が料理や裁縫や編み物が上手なことくらい知ってるよ。…ありがとな」
かあっと顔の温度が上がった気がする。
まともに明の顔が見れないよ…。
「う、うん…」
そう答えるので精いっぱいだった。
目の前で、くるくるとマフラーを巻いてる気配がする。
顔をあげてみると、ぽんぽんっと頭をなでられた。
「似合う?」
微笑んだまま聞かれる。
恥ずかしいけど、今日は素直になろう…。
「うん。似合うよ」
言った瞬間、またぽんっと頭をなでられて、もう一度手をひかれた。