――――――――――

―――――




「あの頃の早和は可愛かったなぁ…」

「今は可愛く無くてすみませんねっ」


ぷんっと顔をそらした早和を見て、クスリと笑ってしまう。

――誰も、今の早和は可愛くないなんて言ってないのに。

むぅっとむくれたままの早和としばらく歩いていると、早和の家に着いた。


「早和」

「…なによ」

「Trick or Treat」

「…へっ?」


ニヤリと笑って目の前の早和に言うと、一瞬ポカンとした後、ハッと気がついたように慌てだした。


「…お菓子は?」

「あ…いや、えっと…」


キョロキョロと視線をさまよわせ、どうしようかと焦っている様子の早和。


「…お菓子がないんだったら、イタズラしていいんだよな?」

「ズ、ズルイっ!!」


ていうか、やってることはいつもと変わらないんだけど。

…でも。


「5分」

「えっ?」


俺が突然呟いた言葉に、早和がポカンとする。


「5分だけ待ってやる。ほら、急がないと…59ー…58ー…」

「えっ!?ちょ、ちょっと!?」


早和はようやく意味がわかったのか、バタバタと家の中へ駆け込んで行った。

それからきっちり5分後………。


「は、はいっ!」

「…ん。ありがと」