校門前にバス着くのに、

余裕で行けると思うんだけど・・・。

「マジ?何か不安でさ。一緒に行ってくんねぇ?」

断る理由も無かったから、あたしは軽くうなずいた。

「ありがと。名前、何て言うの?」

「あたし?えっと・・・黒川 美沙」

「美沙ちゃん、か。俺の名前は新堂 涼。涼、って呼んで」

新堂 涼・・・か。

すごい、モテそうな人だなー・・・。

「うん。美沙でいいよ」

そう話をしている間にバスは北高に着いた。

「着いたよ?」

少し笑ってあたしがそう言うと、

「おお!これだったら全然大丈夫じゃん」

あたしと涼は、料金を払いバスを降りた。

校門を通ると、桜が咲いた1本の大きな木があった。

なぜか、あたしは気付くと桜の木をじっと見つめていた。

「美沙??おーい?美沙ー?行かねえの?」

ふと我に返って、

「・・・ごめん!行くっ」

と返事をした。