「きっと、あの子泣いていると思うから茜ちゃんお願いね。」

そう言って綺羅のお母さんは私に病室番号を教えて泣きながら帰ってった。


病室に入ると、ベットに横になっている綺羅がいた。

・・・綺羅のお母さんの言うとおりだ。

綺羅は泣いていた。

「あ、茜!?驚かせんなよ」

本当は泣いてたくせに笑顔でしゃべる綺羅。

「何泣いてんの?」

途端に綺羅の表情が曇る。
二人とも黙ってしまった。

こういう状況は苦手なのに・・・。
綺羅にかける言葉が浮かばない。

「俺は、もう助からない」
 
綺羅がまた泣きながら言った。