『―――いつか大切な人を守れるようになりなさい―――』

「うん!おれ、がんばってつよいおんみょうじになるよ!」


大切な人を、守れるように…


――――――………



そしてその数年後、俺は「大切な人」と出会う。

今、俺の目の前で眠る、早和と。

幼い日の誓いもまだ覚えてる。

なのに―――……


「ちゃんと守れなくて…ごめん」


早和の天然パーマのかかったサラサラの髪をなでる。

ふわりと早和の甘い香りがした。

早和は…

かわいくて、勉強も運動もできて、誰にでも優しくて。

でも、心配性で、泣き虫で、俺がなでてやるとやっと笑顔が戻る。

いつだって俺がちゃんと帰って来るまで待っていて、いつだって優しく受け止めてくれる。

いままで何度助けられたかわからない。


『明のケガが早く治りますように』


そうやって何度も何度も、優しく包み込んで微笑んでくれるから。

だから…

「好きだよ」

「守りきれなくて、ごめん…」