くるっと振り向いて、笑顔を向ける。
「おはよっ!結希(ゆき)ちゃん」
結希ちゃんは私の中学からの親友。
元気がよくて、ときどき怖い、良い友達です。
「あっきらー!おはよ!」
どーんと明にぶつかりながら挨拶をしたのは渉(わたる)くん。
彼も、明の親友です。
あ、そういえば自己紹介していませんでしたよね?
遅くなっちゃったけど、みんなまとめて紹介します。
まずは、陽石 明(ひせきあきら)。
高校1年生です。
容姿は、とりあえず…かっこいいです。
なんでも、このごろファンクラブができたらしい…。
髪の色は真っ黒ではなくてこげ茶…かな?
そして、瞳も髪と同じ色です。
背は、そういえば中学の頃よりのびて、180超えたとか言ってたかも…。
性格は優しくて気がきくって評判らしいけど、それはまわりの人だけ。
確かに優しいとこもあるんだけど…基本、イジワルです。
しかも、私に対してだけ!
ほんと、なんなんだろう…。
そのくせ、頭はいいし運動神経もいいなんて!
私だって、そんなに頭は悪くはないのに、一度も勝てたことがないんです。
そして明には、私や渉くん、結希ちゃんしか知らない秘密があります。
それは、陰陽師であること。
明の家は代々続く陰陽師の家系で、陽碧家の男子はほとんどが陰陽師。
その中でもトップなのが、明のお父さん、陽介(ようすけ)おじさんです。
おじさんは、陽石家の次の当主を明に…って思ってるみたい。
確かに明は、一族の中でもおじさんの次ってくらいに力があると言われているそうで…。
でも、私は心配…。
今でもおじさんの仕事を手伝ってて、それに加えて私の護衛までしてる。
それだけでもとても疲れてると思うのに…。