実際はそんなにかかってないのかもしれない。
でも、私にはすごく長く感じた。
明りがもれてるんだから、明、起きてるよね…?
まだ、怖い。
体中がカタカタと震える。
だけど、明に会えば安心できるはず。
悲しい時にも、つらい時にも、怖い時にもポンポンって頭をなでてくれた。
いつだって、私が笑えるようになるまでずっとそばにいてくれた。
私が唯一安心しきれる場所。
このドアの向こうに明がいる。
大丈夫。
妖怪なんかいない。
勇気を出さなきゃ。
震える手を上げる。
目の前のドアをコンコンと叩いた。
「…あきら…起きてる?」
懸命に絞り出した声は震えていて、ほとんど泣き声に近かった。
沈黙が流れる。
答えが返ってこない…。