もし寝てたら帰ってこよう。
そう決めてそろそろと布団から出た。
明の部屋は、確か2階だったはず…。
廊下に出て階段を探す。
シーンとしている廊下は自分の指先もうっすらとしか見えないくらい暗くて、それがさっきの夢を思い出させて怖くなった。
階段までの道のりが長く感じる。
やっと階段をみつけて一歩ずつ気を付けて上がっていく。
上り切った後、思わずふーっと息をついた。
目の前の廊下に目を向けると、一室だけドアの下の隙間から微かな明りがもれているのがわかった。
それさえもさっきの夢に酷似しているように感じて恐怖が湧きあがる。
それに反応するように体の震えが大きくなる。
でも、あれは明の部屋だったはず。
これは、夢じゃない。
ここは陽碧家。明の家だもん。
妖怪なんて陽介おじさんの結界で入って来れない。
妖怪なんているはずがない。
大丈夫、だいじょうぶ…。
震える体を抱きしめてそろそろと少しずつ進む。
ドアの前まで来て、震える息を吐きだした。
ここまで来るのに、一体何分かかったんだろう…。