ほっと胸を撫で下ろしてそこに行こうとした時、さっきよりはっきりと話し声が聞こえてきた。
男の人の声…?
それも、2人…。
誰…?
「早くあの娘を連れて来い。あの娘さえ喰らえば回復しつつあるこの体も以前より強くなる…。そしてそれと同時にあの男を絶望の淵に立たせる事ができる。…良い考えだと思わんか?」
「はい、主様。しかし相手は陰陽師。心してかからねば逆にまた深手を負いかねませぬ。ここは、私にお任せ下さい。主様は私があの娘をさらって来るまでそのお体に力を貯めてあの男に復讐を…」
陰陽師…?
復讐…!?
聞こえた単語が心に引っかかる。
復讐するって、誰に…?
それに陰陽師に復讐…って、まさか、ここにいるのは妖怪…!?
もしそうだったら…。
頭の中で警鐘がなる。
ここにいちゃいけない。
…逃げなきゃ!!
ここにいたら危ない!
来た道を戻ろうと足を引いた時…
コツン…
足元から小さな音がした。