そう、確か、お母さんから急に明の家に泊まってねって言われて、久しぶりに陽碧家の人達に会って、一緒にご飯を食べて、陽ちゃんとお風呂に入って…

あれ?その後はどうしたんだっけ…。

そこから先が思い出せない。

それに、ここにいるのは私1人。

他の、陽碧家の人達は…?


『香織さーん…。陽ちゃーん…。陽介おじさーん…。……明…』


震える声で呼んでみたけど、返ってくるのは壁に反響した私の声だけ…。


『いない…の…?…あきら…?』


不安と心細さだけが静かにつもっていく。


『ね…。だれも…いないの…?』


再度呼びかけた時。


「―――――…だ…。わ…ちから…つつ…る」

「し…ち…さい…。もうすぐ…の…もと…」


とぎれとぎれだけど微かに人の声がした。


『誰か…いるの…?』


声がした方に手探りで壁を伝って歩いて行く。

しばらく進むと、ほんの少し明りがもれている場所をみつけた。