―――――――………
ピチャ――――…ン………
ピチャ――…ン………
水が落ちる音がする。
ここは…どこ?
真っ暗で何も見えない。
『寒…い…』
はぁっと息を吐いたら暗闇の中で吐き出した空気が白く昇って行くのが見えた。
そう…っと手を前に伸ばしてみると、ヒヤッと氷のような冷たさが指先に伝わって思わず手を引っ込める。
もう一度手を伸ばして触ってみると、それが濡れた岩の壁のようなものだとわかった。
ゴツゴツしていて、まるで…
『洞窟とかの壁みたい…』
声を出すと、寒さからなのかみっともなく震えているのが自分でもわかって少し驚く。
『本当に、ここはどこなんだろう…』
今は5月のはず。
こんなに寒い場所にいつの間に来たんだろう。
それに、たしかさっきまで明の家にいたはず…。