陽香が香織につつつっと寄って行って話しかける。
「あれだけお互いに想ってるのに何で気づかないんだろうね?」
「そうねぇ。でも、それがあの子達のペースなのよ。いつかちゃんと通じる時が来るわ。ただ、早和ちゃんはかわいいから、あんまりゆっくりしすぎると誰かに先を越されそうだし…。何も無いといいんだけど…」
「そうだよねぇ。早和お姉ちゃん、自覚無いみたいだけど美人さんだからもうすぐ告白とかされるようになっちゃいそうだよね。お兄ちゃん、大丈夫かな」
「大丈夫だ。明はあれで早和ちゃんを傷つける奴には昔から容赦が無かったからな。心配は無い」
…ちなみに、陽碧家の3人がこんな話をしてたなんて早和は知らない…。
「さ、ご飯も出来ている事だし、遅くならないうちに食べちゃいましょう」
パンパンと手をたたく音が聞こえて明と一緒に振り返ると、香織さんがにっこり笑ってそう言った。
「あ、私配膳するの手伝います」
「あらそう?じゃあご飯をよそってくれないかしら」
「はい」
私も香織さんに微笑み返す。
ほんわりとした雰囲気の香織さんといると、私までなんだか優しい気持ちになれるから不思議。
本当に香織さんみたいな人が未来のお義母さんだったらいいのに。
ご飯をお茶碗によそいながらそう思った。