なんだか嫌な予感を覚えつつも、一応きいてみる。
「な、なにを?」
「なにって…」
うわ…。笑みが深くなった。
「早和、遊ばれるの好きだろ?そんなに遊んで欲しいなら言えばいいのに」
「…は?」
「まったく、早和はいつまでたっても素直になんねーな」
ニヤニヤしながら言うけど、ちょっと待って。
「だれがいつ遊ばれるのが好きなんて言ったの?しかもなんだか変人みたいじゃないっ!」
「あれ?変人じゃないんだ?」
な、なんかむかつく。
「変な訳ないでしょ!失礼な!」
言うと同時に手に持っていた通学かばんを振り上げる。
…けど、明はひょいっとそれをよけると、逆に私からかばんを奪った。
「あっ!ちょっと返してよ!」
取り返そうとするけど、すぐに逃げられる。
必死に追い掛ける私に対して、余裕な表情の明。
悔しいっ!!
「早和が俺に勝つなんて絶対無理。観念しておとなしくなれ」
「このイジワルめ…!」
「お前がおもしろすぎるんだろ?ワカメちゃん?」
「これは天然パーマですーっ!」
端から見れば、早朝の住宅街で舌戦を繰り広げているなんておかしな状況なんだろうけど、私達にしてみればいつもの事。
…まぁ、そのせいで学校に遅刻しそうになったこともあるんだけど。
そんな時は明が私の手を引っ張りながら、全力ダッシュする。
私を置いて行っちゃうことは無いから、そこは優しいと思うけど…。
だけど、やっぱり明って性格が悪いと思う。
すぐ意地悪言ってくるし。
なんでこんなのが好きなんだろ…。
たまに浮かんでくる疑問。
だけどそれは、すぐに掻き消える。
なぜなら…。