「ん?」
「…夢を、見たの」
「夢…?」
俺が眉をひそめたのがわかったのか、早和がちらりとこっちを見る。
夢は、いろいろなモノを映しやすい。
それも、早和みたいに力がある奴は特に。
良い例が予知夢だ。
「…それで?」
早和はまたキョロキョロと視線を泳がせる。
「そんなに、言いにくいか?」
そう言うとちょっとこっちを向いた。
「や、えっと…」
早和はそう言うと、ちょっと困ったような、心配そうな複雑な顔をしてから意を決したように俺を見た。
「その…悪い言霊って同じ悪いものを引き寄せるって言うでしょ?だから、正夢になってしまわないか心配で…」
ああ…なるほど。
そういうことなら…。
俺はクスッと笑って早和を見た。
「だったら、それを打ち消すような良い言霊を使えばいいだろ?…「大丈夫」だよ」
俺は「大丈夫」の部分に念を込めて言った。
それに早和も気づいたらしく、ほっとした顔になる。
さすが、あいかわらずすごい見鬼だな。
早和が安心したのか、話をはじめた…