偽物って…。


「なんで?俺ちゃんとここにいるだろ?本物じゃなかったら何なんだよ」


そう笑って返すと、早和はほっとしたような力が抜けた笑顔を見せた。

だーかーらー!!

その顔は反則だって!!

仮にもお前を好きだと思っている男の前でそんな顔するなよな。

…って言ってもしょうがないか。

早和は俺の事を幼なじみとしか思ってないんだろうし。


「…明?どうしたの?」

「いや、なんでもない」

「…そう?」


苦笑いで返すと、不思議そうな顔をされた。


「…で?なんで朝からあんなに泣いてたんだ?…誰かに、なにかされたか?」


最後の方は、自分でも声が低くなったのがわかった。


「………」


早和はちょっと困った表情で視線を泳がせている。

…言いにくいのか?


「どうした?…俺には言えない事か?」

「ちっ違うよ!そうじゃなくて…」


早和はすごい勢いで否定した後、ちょっと考えてから俺を見た。


「あのね…」