俺がそう言うと、渉は「やっぱりな」と笑った。

そんなこんなで朝から真面目な話をしていると、いつのまにか学校についていた。


「おはよう」

「おはよう!早和ちゃん、結希」


教室に入ると、早和と華坂が二人で話していた。

めずらしいな。

いつもはもう少し遅く来るのに。


「おはよ。渉、明」

「………」


ん?早和からの挨拶が無い…。

いつも朝から元気よく挨拶してくるのに。

不思議に思って近づいたら、うつむいてしまった。

なにか、あったのか?


「どうした?なんで何も言わねーんだよ」


とりあえず問いかけてみた…が、


「………」


反応ナシ。


「なにか、あったのか?」

「………」


ピクリと微かに反応する。

…あったんだな。

とにかく、なんとかして顔を上げさせないと。


「うつむいてちゃわかんねーよ。ちゃんとこっち向け」


言った瞬間にぐいっと早和のあごをつかみ、上を向かせた。