う、噂の姫?

なんのこと?とお兄ちゃんを見るけど、首を横に振られた。

お兄ちゃんも知らないみたい。


「…どういうこと?」


意味がわからなくて、誠二君に視線を戻す。

すると誠二君は、いたずらっぽく笑った。


「実は、俺も陽石学園に通ってるんだ」

「えぇっ!?」


うそ!

そんなの知らなかったよ!

な、なんで誰も教えてくれなかったのよぅ…。

明とか、結希ちゃんとか渉くんなら知ってたはずだよね?

むぅ~…。


「それで、早和が噂の姫っていうのは?」


私がひとりでむくれていると、隣に座っているお兄ちゃんが代わりに訊いてくれた。

そうだった。

噂の姫って、なに…?


「早和ちゃん、有名なんですよ。可愛いから。それに…」


誠二君はそこでいったん言葉を句切って、意味ありげに私をチラリと見る。

いやいや、私は可愛くなんかないからね?

それ、絶対誰かと勘違いしてるでしょ、誠二君。


「早和ちゃんには、学園一カッコいい、ナイト君がついてるからね?」

「…………っ!」


誠二君の言葉を聞いた瞬間、思わず息を呑んだ。

そんな…。

ウソ、だよね…?

信じたくない。

でも……