「…えっと、ここ、日本だよね?」

「ああ。もちろん」

「……ですよね」


ムニッと自分の頬をつねってみる。


「…いひゃい…」


うん、間違いなく日本なんだよね?

そうだよね?

いや、だけど、今私の目の前にあるモノは…


そう、例えば○○宮殿って言葉がしっくりくるような…、大きすぎる建物。


外観は本当にヨーロッパの歴史的建造物と言われても違和感がないほど、豪華で細かい。

お屋敷、というよりは、やっぱり宮殿。

それくらい桁違いに大きい。

まさかとは思うけど、この建物は…


「早和の思ってるとおりだよ。ここは、お祖父様のお屋敷だ」

「うそでしょ…」


信じられない。

だって、この広さの敷地に、庭園に、宮殿みたいな大きすぎるお屋敷だよ?

総額がいくらか…なんて、考えたくもない。

…というか、規模が大きすぎてわからない。

あらためて、久城財閥の財力のすごさを知った。


「司様、早和様、どうぞこちらへ」


ここまで案内してくれたメイドさんが丁寧な仕草で私達をお屋敷の中へと促す。

お兄ちゃんの後に続いて重そうなドアから中へ入ると……


「「「いらっしゃいませ、司様、早和様」」」


たぶんこの家の執事さんやメイドさんだと思われる方々がずらりと並んで出迎えてくれた。