「いってきまーす」


とりあえず、あれから親父にはもう一度今の街の状況について念を押された。

こうやって街を歩いていても、いたるところで雑鬼の姿を見かける。

確実に、なにかが起こり始めているんだ。


「おっはよーぅ!明!」

「おはよう。お前はいつも元気だな」

「それがとりえのようなもんだからなっ」

「そーかよ」

「うっわー気の無い返事」


渉と話しているとこっちまで元気をもらえる。

それに、こいつはいつもバカしかやっていないように見えて実はいろいろと考えていたり、人に気を使ってたいたりするからそういう所は見習いたいと思う。

いつもふざけてるようで、本当は真面目なやつなんだ。

でも、そうじゃないと大財閥を継ぐ事なんてできない。


「なーに考えてんだ?」

「いや、お前って結構スゴイやつだよな…って思って」

「はぁ?いきなり何言ってんだよ。薄気味わりーぞ」

「お前な…。もっと素直に喜べよ」

「…じゃあ言わせてもらうけど、俺はお前の方がスゴイと思うぞ」

「は…?なんで?」


渉が真面目な顔でちらっとこっちを見る。