まさか!!

ありえないよ!

だって、さくらちゃん…


「隼人ね、私が通ってる学校の元生徒会長なの。私も生徒会に入ってたから、接点があってね…。それで」


そう言って、鳴海さんを見つめるさくらちゃんの目には「愛しい」って想いが溢れていて…。

あぁ…そっか。

さくらちゃんもやっと、心から信頼できる人を見つける事ができたんだね。


実は、さくらちゃんの家は大きな神社。

伯父さんの家系が代々そこの神主さんをしているの。

さくらちゃん自身も巫女さんとしてお手伝いをしているし…何より、さくらちゃんには生まれた時から特別な力がある。

それは、私とか…もっと言えば、明に近い能力。

見鬼の才と…悪鬼を払う力。

そして、たぶんその力のせいなんじゃないかと私は思っているんだけど…さくらちゃんは、人が苦手。

親族以外の人を信頼できない…って言ったほうがいいのかもしれない。

だから…。


「さくらちゃん…よかったね」


ずっと、人との間に一線を引いていたさくらちゃん。

そのさくらちゃんが、唯一自分の本心を見せる事ができる人。

それが、鳴海さんなんだ…。


「…うん。ありがとう、早和ちゃん」


私の思いを感じ取ったのか…さくらちゃんはすごく優しい瞳でお礼を言ってくれた。


「…ところで!」

「へっ…?」


…と、今までの雰囲気はどこへやら。

ビシッっと右手の人差し指を目の前に突き出され、思わず1歩後ろへ下がってしまった。


「明くんとは、どうなったの?」

「え…」


にっこりと笑うさくらちゃんは可愛いけど…

その笑顔は逃れる事を許してはくれない。


「つきあい始めた?」

「え!ま、まさか!!」