どうして明はいつもこんな感じなんだろう。

しかも毎回楽しそうな顔してるし。

なにがそんなに面白いのかさっぱり理解できないよ。
そんなことを思いながらずっと睨んでいたんだけど…


「…………ぅ…」


身長差が大きいせいか首が痛くなってきた。

いつも先にギブアップするのは私のほうばかりで…本当に悔しい。

そう思うから、余計ムッとした顔をしてしまう。

そのまま首の痛さを我慢して睨み続けていると…


「…早和ちゃん…?」


背後から、とても驚いたような声が聞こえた。

名前を呼ばれたことに反応して声の主を探すと、そこには。


「さ、さくらちゃん!?」

「やっぱり!早和ちゃんだったんだ!!」


なんだかとても嬉しそうな顔をしている従姉妹の姿が。

いるはずのない人が目の前にいることで、思わずポカンとしてしまう。

な、なんでここにいるの…?

私の頭の中を疑問符が飛びかった。


ニコニコと微笑んでいる彼女は、水野さくらちゃんっていう、私の従姉妹。

私より2歳年上で、18歳なの。

さくらちゃんのお母さん…私の叔母さんは、私のお母さんの姉だから…さくらちゃんもクォーターということになる。

私よりは黒に近い髪の色をしていて、くせ毛も毛先だけくるんとカールしている程度。

白い肌にピンクの頬、そして自然と色付く唇。

くりっとした瞳は、やっぱり私よりは黒っぽい。

私はどちらかといえばハーフに近い顔をしてるけど、さくらちゃんはクォーターだと言われなければわからないような顔をしている。

まぁ、叔父さんの家系から見ればそれは当たり前のことなのかもしれないけどね。

だけど、確実に言えることは…かなりの、美人さんだってこと。

さくらちゃんは、いつも「そんなことないよー」って言って笑うけどね。


「えっと…な、なんでさくらちゃんがここに?」


だってさくらちゃんの家は会社を経営してる訳でもないのに…。

どうして…?

少々パニック状態に陥りながら尋ねると、さくらちゃんはフフッと笑って視線を隣へ向けた。