――明side
「――という訳だ。まあ、お前だから大丈夫だろうが、気をつけるんだぞ」
「わかったよ。親父」
早朝、陽石家。
朝早くから親父に呼び出された。
それは、このごろ俺も気になっていた事。
ここ数日、街の雰囲気が少しおかしい。
街中で雑鬼を見かける事が多くなった。
あ、雑鬼というのは、妖怪の中でもあまり力が無い小さな妖の事。
ただ、たまーに人間にイタズラをしているみたいだけど。
ここら辺の一帯は陽石家がいるのでそれ以上の事をする雑鬼はいない。
そんな事をすれば、俺たちに一瞬で消されるからだ。
妖怪たちは基本夜型。
昼間に寝て夜に活動する。
だから、夜に雑鬼達を多く見かけてもそれほどおかしいとは思わない。
まあ、普段見えない人ならおかしいどころじゃないかもしれないが。
「見える」俺らがおかしいと思うのは、昼に多く雑鬼達を見かけるからだ。
本妖(ほんにん)達にきいてみたら、
「なんだかこのごろ力が湧いてくるんだ。」
とかなんとか言っていた。
それに、このごろではあまりいなくなってきていた、早和を狙ってくる妖怪が増えた。
この前も朝から2体も調伏したし。
あの時は早和にも助けられたけれど。