おじいちゃん…さっきはすごく厳しそうに見えたのに、今はすごく優しく笑ってる…。

結希ちゃんの言った事は本当だったのかな…?


「さーわっ。いつまで座り込んでいる気なんだよ?」

「お兄ちゃん」


相変わらずホストにしか見えないお兄ちゃんがいつの間にか近くに来ていた。

お兄ちゃんが私の手をとって立たせてくれる。


「ありがとう」

「どーいたしまして」


お兄ちゃんがちょっとおどけた風に言って笑った。

それを見て私も笑顔になる。


「司。勉強のほうはどうだ?」

「はい。頑張っています」


横から、おじいちゃんがお兄ちゃんに話しかけた。

そのおじいちゃんの目はさっきステージで見た厳しいもの。

そんなおじいちゃんに、お兄ちゃんも真面目な顔をして答える。


「そうか。裕也の良き右腕となれるように精進しなさい」

「はい」


そこまで言うと、ふとおじいちゃんが表情を和らげた。


「ところで司。お前、また背が伸びたんじゃないのか?」

「あれ?そうですかね?自分ではあまりわからないのですが…」

「今度計ってみなさい。おそらく伸びていると思うぞ」

「では、また今度お祖父様にお会いした時に報告しますね」

「ああ。楽しみに待っておるぞ」

「はい」


さっきまで真面目な顔をして答えていたお兄ちゃんも、今は笑顔で話している。

やっぱり、祖父と孫なんだなぁって実感できて、なんだか嬉しかった。

砕けた会話の中の、和やかな空気が心地いい。

はじめて会ったはずのおじいちゃんが「家族」なんだってストンと納得した。


「早和。夏休み中におじいちゃんの家に遊びに来んかね?」