…そっか。確かに。
「そうだよね…」
「そうそう。あ、なんか甘いもの取って来てやるよ。気疲れしてるだろ?疲れてる時は甘いものを食べたくなるって前に言ってたじゃん」
そういえば、そんな事を言ったかもしれない。
明ってよく覚えてるなぁ…。
「じゃあお願いします♪」
「了解。…早和は、そうやって笑ってたほうがいいよ」
「えっ…////」
明はクスッと笑って甘いものを取りに行ってしまった。
明のセリフに、ちょっと赤くなった私を残して。
「皆様、今日は私の誕生日パーティーにご出席下さり、誠にありがとうございます」
遠く離れたステージのような所で、白髪のおじいさんが挨拶をしている。
あれが、おじいちゃん…?
会った事も話した事もないおじいちゃんを遠くから見つめる。
私がおじいちゃんに抱いた第一印象は、「厳しそうな人」。
しわのたくさんある顔に眼鏡をかけていて、その奥の瞳は強い意思を持っているかのようだった。
しばらくしておじいちゃんが下がり、今度はお父さんが挨拶を始める。
その慣れた様子を見て、やっと「ああ、社長さんなんだ…」と実感した。
「…すごい…ね…」
「ん?」
いつの間にか隣に立っていた結希ちゃんが聞き返してくる。
「お父さんも、初めて見るおじいちゃんも、すごく慣れた様子で…あんなに大きな会社を動かしている人なんだなって、やっと実感した気分なの」
私がそう言うと、結希ちゃんはくすっと笑った。