「今までもこれからも、俺が責任を持って早和を守ります。だから安心してください。裕也おじさん」

「ああ。まかせたよ」


明とお父さんが不敵に笑う。

そこに見えるのは、絶対的な信頼。

お父さんは、明を信じてるんだ…。

そう思って嬉しくなる半面、小さな感情が私の中に現れる。

明は、私を守ってくれる。

だけど、明が私を守ろうと頑張る度にどんどん危険に近づいて行く…。

いつもいつもなんでもない事のように一緒にいてくれるけど、その所為で明が危険な目にあうのは嫌。

私の所為でケガしちゃう所を見るのは嫌。

でも好きだから、一緒にいて欲しいって思う。

それはただの私のワガママなのに、私は明の安全よりも自分のワガママを通してしまっているんだよね…。


「早和?」

「あっ、うん、何?」


呼ばれてハッと気がつくと、明が少し心配そうに私を見ていた。

まわりでは皆それぞれにどこかの重役さんだと思われる人と話したりしている。

かなり長く自分の世界に入っていたみたい。

それにしても…

皆、慣れてる感じ…。

やっぱり私だけ浮いてるよね。


「ずっとぼーっとしてるけど、大丈夫か?」

「…うん。大丈夫。なかなか事実が飲みこめないけどね」


ちょっと苦笑いで答える。

いきなり財閥の娘だったなんて言われて、すぐに納得できるほどの神経は持ってないからね。


「ま、そうだろうな。でも早和は、今まで通りでいいんじゃないか?」

「え?」


明が私の頭をポンポンと撫でる。

明、頭撫でるの好きだよね。


「早和は早和だろ?財閥の娘だからって、いきなり何かが変わる訳でもないんだし、今のままでいいんじゃねぇの?」