結希ちゃんがそれはそれは綺麗な笑顔で言う。

こ、怖いです…。


「他でもないおじいちゃんの誕生日パーティーだからな。早和にも来てもらわなくては、と思ったんだよ」


お父さんが私の頭を撫でながら言った。


「お父さん…」

「ん?」


お父さんが、お兄ちゃんにそっくりの笑顔で笑う。


「お父さんが久城財閥の社長さん…って、本当なの?」

「…本当だよ。今まで隠していて悪かったね」


お父さんが申し訳なさそうな顔で謝ってくれた。


「どうして隠していたの…?」


それが、最後に残った疑問。

皆私が久城財閥の社長の娘だって知ってたのに、当の私が知らなかったワケは?


「それは…早和にはなるべく普通の生活を送って欲しいっていう理由と…」


そこでチラッと明を見たお父さん。

明が…どうかしたの?


「早和には、力があるだろう?」


私の、力。

霊が見えたり、妖怪が見えたりする力。

その力があるから明に今でも守ってもらってるんだよね。


「財閥の娘だと公表すれば、その所為で危険な目にあう事もある。早和はそうでなくても狙われやすいらしいから…」


確かに、たまにだけど妖怪に襲われたりする事もある。

その度に明が守ってくれるんだよね。

人間からと妖怪から。

私が両方から狙われるのを防ぐためだったんだ…。

ポンと頭に大きな手が乗る。


「明…?」