そんな願いもむなしく、どんどん縮まる明と私の距離。

とりあえず涙目になってる事を知られたくなくて、うつむく。

明の事だから、気づいたらきっと心配しちゃう。


「どうした?なんで何も言わねーんだよ」

「………」

「なにか、あったのか?」


あったといえばあったけど…。

今は、言えない。


「うつむいてちゃわかんねーよ。ちゃんとこっち向け」


そう言った途端に明はぐいっと私のあごをつかんで上を向かせた。

さすがにそこまで予想して無かった私は、抵抗する間もなく顔を上げる。


「さ…わ?」


あーあ…。

見られちゃった…。

私の目の前にはちょっとにじんだ明の驚いた顔。

どうしよう…。

私このままここにいたら泣いちゃいそう…。

みんなには悪いけど、どこかに走って逃げちゃおうかな…。

そんなことを考えた時。


「渉。わりぃけど、後頼むな」


唐突に明が言った。