優しそうな運転手さんの声とともに車がゆっくりと停車する。
「ありがとうございました」
「いいえ。楽しんできてくださいね」
お礼を言うと、にっこりと笑ってくれた運転手さん。
良い人だなぁ…。
「さて。行こうか」
渉くんの一言で皆がホテルの中へ入って行く。
それを慌てて追いかけた。
「こんな所で転んだりするなよ?」
「なっ…!そんなことしないもん!」
静かな雰囲気のロビーで明と2人で小さな声で言い合い。
いつも通りにからかってくる明だけど…。
私が緊張してるってわかっててわざとこんな事をしてくるんだよね?
普段はイジワルなくせに本当は誰よりも優しい人だって知ってるもん。
エレベーターの中で明を見上げてクスッと笑った。
そうして着いた、パーティー会場。
中に入ると、それはもう広くて、天井にはシャンデリアがたくさん…。
こんな所で誕生日パーティーを開く人って、どんな人なんだろう。
あらためてそう思う。
目線を下に向けると、たくさんの人人人…
「あ、あの人見た事ある…」
テレビで見た事がある有名人がたくさん。
すごい人達が来てるんだなぁ。
「おーい。大丈夫かー?」
「あ、うん。大丈夫」
お兄ちゃんが目の前で手のひらをヒラヒラと振る。
とりあえず返事をしてお兄ちゃんを見上げた。
…でも。