朝早くの教室。
居ても立ってもいられなくて、早めに来ちゃった。
早めに来たつもりだったのに、私が教室に入った時にはすでに結希ちゃんが席に座っていた。
早起きだなぁ…。
「早和、大丈夫?」
心配そうな顔で結希ちゃんが私を覗き込む。
「え…?どうして?大丈夫だよ」
「でも、泣きそうな顔してる」
「えっ…?」
「なんかあったんじゃないの?」
結希ちゃんが更に心配そうに眉をよせる。
心配かけちゃったな…。
「ちょっとね、怖い夢を見ちゃっただけなの。だから、大丈夫だよ」
「本当?」
「うん」
そう言ってうなずいて、これ以上心配かけないように微笑んで見せた。
「おはよう」
「おはよう!早和ちゃん、結希」
しばらくして、明と渉くんが一緒に登校してきた。
「おはよ。渉、明」
結希ちゃんが挨拶を返す。
私も挨拶しようと思ったのに…
どうしよう、声が出ないよ…。
教室に入ってきた明を見たとたん、安心して体中の力が抜けちゃった。
今言葉を発したら、泣いちゃいそう。
何も言わない私を不審に思ったのか、明が近づいてくる。
お願い、今は、来ないで……。