「あの・・・お話ってなんでしょうか・・・」


放課後、コイは屋上に来ていた。

いや、来ていたというよりも呼び出された、というのが正解。


───もうなんなの?!何がなんだか・・・


そう思うのも無理はない。

コイを呼び出したのは、今日転校してきた小池ユウヤなのだ。


「ん~、お前はどっちがいい?」

「・・・は?」

突然の質問に、眉間にしわを寄せ答えた。


「まぁもうバレてるわけだしどっちでもいいか」

「えと・・・」

「小池ユウと小池ユウヤはどっちも俺。わかる?」

「はい・・・」


小池ユウは、コイの家庭教師をしている先生であって

小池ユウヤは転校生で今日からクラスメイト

同級生が家庭教師ということだ。


でも、コイの家庭教師である小池ユウは大学生で

転校してきたクラスメイトの小池ユウヤは同級生という図式に

特別頭が悪いわけではないコイも、さすがにわけがわからなくなった。


「えっと・・・先生、ですよね・・・?」

「そう正解。といっても、まだわけわからんて顔してるなぁ」


そう言ってクスリと笑うその顔は、作り笑顔ではない


まぎれもない笑顔だ。


「もろもろの事情なしで簡単にいうと、年齢偽って家庭教師のバイトしてるってことかなあ」



コイは、突然母が家庭教師を雇うと言いだした時のことを思い出した。